桑名メディカルビレッジの新美 塁先生が骨粗鬆症学会にて森井賞を受賞し感想を頂きました。

 過去に多くの研究をしました。

主な研究分野は、人工関節、骨軟部腫瘍、骨粗しょう症です。日本語の論文はいくつ作成したか数えていませんが、いっぱい作成しました。学会発表も100回以上しました。講演会の講師は、2019年は28回しています。日本人にとってハードルが高い英語論文は、筆頭著者として掲載されているものだけでも29編あります。 英語論文は、英語で作成するという手間、審査の厳しさ、英語で審査者とやり取りをする苦労などから掲載されるまでが日本語論文に比べて大変です。そのため英語論文には一定の価値があるとされています。例えば学位所得(医学博士の資格を所得できる)のためには、英語論文を1編発表していることが必要なことが多いです。

私は幸いにも医師1年目から研究をする機会があり、以後、多くの先生方に指導を受けました。また、研究環境にも恵まれ、特に骨粗しょう症分野の論文ではトップジャーナルと呼ばれる一流紙に何度もチャレンジしました。トップジャーナルに採用を目指す研究者は多くいますので実際にトップジャーナルに掲載される論文は質の高いものに限られています。研究のアイディア、研究結果の妥当性・客観性、医学貢献へのインパクトなどが評価されます。トップジャーナルは審査する人も研究に慣れている人が多く、審査も厳しいです。審査の過程を通して、治療の妥当性・研究の妥当性・自分に不足しているもの、多くを学びました。研究を通して自分が行っている治療を見直すことは日常茶飯事です。講演会も来場して頂く方に最新の知識を届けるためにテーマになる分野の勉強が欠かせません。私は年に100編以上の英語論文に目を通します。研究や講演活動を通して最新の情報に触れ、それを取り込むことで自身の治療レベルを高めることができます。こういった活動を通して、世の中の治療を少しでも進歩させることができると思います。成果が認められ2019年に骨粗鬆症学会より森井賞を頂くことができました。

私が行った研究の一部を紹介します。

@ 歯科治療に伴うプラリア®休薬には危険が伴う

 プラリア®という骨粗しょう症治療薬があります。この薬剤は6カ月に1回の注射ですが、6カ月前後で薬剤効果が切れます。何らかの理由で注射が途絶える時があります。このような状況になった患者さんの一部に、“リバウンド椎体骨折“と呼ばれる多発の椎体骨折(背骨の骨折)が生じることが2016年に初めて報告されました(Osteoporosis international)。 話が変わりますが、プラリア®は歯科治療の際に悪影響が出る可能性が懸念されています(抜歯をした部分の直りが悪くなる;顎骨骨髄炎と言います)。現在、多くの先生に誤解がありますが、骨粗しょう症薬を使用しているから病気が生じることはありません。病気になっている、あるいはなった時に治りが悪くなると懸念されているのが現在の研究成果です。 私はプラリア®治療中に、歯科治療のためにプラリア®が中止に至る患者さんを診ました。その方は、歯科治療が終了後もプラリア®治療が再開されず(多くの患者さんが来院しなくなります)、“リバウンド椎体骨折“のために背骨が5カ所骨折しました。歯科治療と骨粗しょう症治療の在り方を見直すきっかけになればと英語論文を作成し2018年に掲載されました(Osteoporosis international)。本結果に伴い、歯科治療に伴うプラリア®休薬は危険であるという認識が広がっています。 なお、歯科治療に伴う骨粗しょう症治療薬中止の効果に関するアンケート調査では、@中止に伴う歯科治療へのメリットは証明されず、A骨粗しょう症へのデメリットがある可能性が指摘されています(Taguchi A et al. Calcif Tissue Int 2015)。

A フォルテオ®治療中の骨代謝マーカーの使い方。

  治療にはその効果判定が必要です。例えば、膝が痛い人に痛み止めを処方します。痛みが取れれば、あるいは痛みが軽くなれば効果があるとなります。高血圧なら血圧が低下するか見ます。骨粗しょう症治療の場合は、骨密度や骨代謝マーカーと呼ばれる骨の新陳代謝の変化をみます。骨代謝マーカーの使い方の効果的な使い方をまとめ発表しました(Osteoporosis international)。この成果は「骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適正使用ガイド 2018年版」に数カ所にわたり掲載されています。

 

 

 

また、本論文をもとに資材が作られ、全国の先生方に配られております。

 

【新美塁 先生の業績】 <英語論文>

●人工関節 7編

●骨軟部腫瘍 8編

●骨粗しょう症 12編

 Journal of bone and mineral research 1編
 Osteoporosis International 6編
 Bone 1編
 JBMR Plus 1編 など

●その他 2編

●森井賞受賞・・・歴代の森井賞受賞者は日本を代表する骨粗鬆症のエキスパートばかりです。